2025年11月25日(火) 伝統工芸の未来をひらく 備前焼×デジタルで生まれる新しい価値づくりワークショップを開催しました。
11月25日、岡山大学共創イノベーションラボ KIBINOVEにて、OI-Startは「伝統工芸×web3で未来を創る」をテーマにしたアイデア創出ワークショップを開催しました。
本企画は、内閣府「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の一環として実施したもので、当日は岡山大学の学生・教職員、企業、行政、岡山県立大学デザイン学部の学生など多様な立場から約20人が参加し、備前焼の新たな可能性を探る議論が交わされました。
イベントの冒頭では、戸板女子短期大学の川嶋比野教授より、備前焼にweb3やNFTなどの次世代テクノロジーを組み合わせる新しいアプローチについてわかりやすく解説がありました。千年を超える歴史を持つ伝統工芸の世界に、デジタル技術を組み合わせて未来を拓く発想に、参加者からは驚きと期待の声が上がり、会場は一気に温かな空気に包まれました。
続くワークショップでは、備前市出身で備前焼のブランディングを手がける、神奈川大学発ベンチャー企業・株式会社WTSの大富貴稀専務取締役がファシリテーターを担当。地元文化への深い理解と、事業創造の視点を組み合わせた軽快な進行により、参加者同士の会話は自然と深まり、活発な意見交換が行われました。
グループワークでは「BizenDAOを活用することで備前焼をどう発展させるか?」をテーマに、3つのグループに分かれて議論を実施し、従来の枠を超えた多様なアイデアが次々と生まれました。備前焼をすべてDAO化するという大胆な構想や、岡山市内で“陶芸レベル別”に参加できる身近なワークショップの開催、さらには「備前焼ソムリエ」のような格付けを設けてDAOを通じた人気投票を行う仕組みなど、文化発信と参加型の価値創造を融合させる案が提案されました。また、小学生が窯元を訪れて自作した茶碗を卒業まで給食で使い続ける「私の茶碗物語」プロジェクトのように、子どもの成長と器の物語をNFTでアーカイブする取り組みも登場しました。さらに、割れた茶碗に新たな生命を吹き込む「魔法のお茶碗」構想では、壊れた際にアクセサリーへリメイクするか、窯元で再び陶芸体験を行うかを選べる修繕ギフトが提案され、修繕履歴をブロックチェーンで残すアイデアも加わりました。このほかにも、海外ファンとのオンライン交流、学生と陶芸家による協働プロジェクト、作品の“育つ器”としての魅力をNFTで表現する試み、ファンが作品を持ち寄るリアルイベントの構想など、伝統工芸の魅力をより広く深く伝えるユニークな提案が飛び交いました。
終了後には、「備前焼をこんな未来志向で考えたのは初めて」、「自分の意見が文化の継承に関わる一歩になるかもしれないと感じた」といった前向きな感想が寄せられました。世代も立場も異なる参加者が持ち寄った多様な視点と知恵が交差し、新たな価値の“芽”が次々と生まれる、まさにDAOの精神を体現したワークショップとなりました。
備前焼の未来をひらく挑戦は、まだ始まったばかりです。今回のワークショップで生まれたアイデアをもとに、地域・大学・企業が連携しながら、新たな文化価値を育てていきます。次回のイベントも企画予定ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
DAOとは:Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織) の略で、参加者全員で運営し、特定のリーダーに頼らず、透明で協力的に動くコミュニティの仕組みのこと。
集合写真
ワークショップの様子